2015年6月20日土曜日

君と四分三十三秒

うっ血した時間ばかりが過ぎていく
やり場のない手は
ずっと膝に置かれている
幾度もなぞった同じ場所
血がたまっていく

夕暮れた街に名前をつけて
歩けない路地を増やしていく
遠くへ来たと思っていたのに
手を取り合わずには歩けないなんて

黙って二人 生きた日は
吹き飛ばされた時間たち
きっとそうね、思い出の
ディテールはいつも後追いで

懐かしい夢に変わるまで
どうして?ばかりが増えていく
応えはしない過去だから
やり場のない手は
ずっと膝に置かれている

黙って一人 生きる日は
いろんな音を聞けるはず
なのに何故
かつての胸の高鳴りと
あなたの言葉だけが響く



2015年6月5日金曜日

尿 (蒸発 2)

君は尿
わたしを早く透き通らせて
通り過ぎていく湿り気が
わたしの中を動いていく
虹は咲いてくれるかな
心に咲いてくれるかな
君は尿
たくさん水を飲もう

君は尿
わたしを透き通らせて
いつか聞いたよ
身体はリセットされていく
何年か経てばそうなると
わたしの中を過ぎていく
憶えたままでいるのにね
君は尿
たくさん水を飲もう

死ねば白か
透明じゃないのか
なら生きて
もう少し減らそう

たくさん水を飲もう
そして行ってしまえ
尿になって


スモークス

傷つけ合いながら
生きたいひとに
やっと出逢えた気がするわ

もっと近付いて曇らせて早く
そうして二人
磨りガラスね

空気を抜いて、そう、奥まで

もっと近付いて曇らせて早く
そうして二人
磨りガラスね

見えなくなるまで
あなたを刻む