2012年7月29日日曜日

背中

土曜日がまるで平日の様に
だれも踊らない街に
動物は、住めない
猫目まなこ 遠回りして君は
そして、会いにきた
「よく、見えなくて」
いつもと同じ 細い目を
髪、そろえたんだ
いいえ、大体よ
風邪、引いた?
化粧が面倒で
なんてなぁ
背中でもいいよ
くれ

2012年7月21日土曜日

水(即興詩)

水を一杯いかがでしょう
無色透明、無味無臭なそれ
ややこしい俺の
便、し尿、焦燥、嫉妬、猜疑心、
虚栄、慢心、諦念、臭夢、
それらを布で包んで
ぎゅっ ぎゅっ
絞ってこして出した水
無色透明、無味無臭のそれ

例えば、詩。
それはまるで、水の様に
濾過された感情を
例えば、詩。
それはまるで、水の様に
恰も美しいかの様に

水を一杯いかがでしょう

2012年7月7日土曜日

鮭のいた部屋

鮭のいた部屋で
ひっくり返ってた ふたり

電球なんていらないじゃない
だってこんなに眩しくて
凶暴な棘の様な光
だけど、刺してもくれないの
ほらほらこんなもんだよ
あんたの部屋なんてほらほら
ほらほらこんなもんだよ
あんたの骨も耳も目尻も
なんて嫌なことばかり言うから
まるで興ざめしてしまう
だから、早く消して
泳いで揉んで産んでかけて、そのまま逝って

壁に背中をぴったりつけて
大きく口を開いてた二人
鮭のいた部屋で
ひっくり返ってた ふたり