2014年1月25日土曜日


その青を、僕はもう知らない
舌に当るもの全てが新鮮だった頃
海に近い場所でだって
空を見ていたさ
しょっぱいものは、あなたがくれるから

懐かしい場所は、明日にでも消えてなくなってしまうかも知れない
できれば、そうしてくれ
歩けないほど懐かしい場所が
どうしてずっと、あるままなんだ

キスした後、唇をたたんで
涎の匂いを嗅ぐのが好き
リアリティ 離れても、確かな証拠でそれはあるから

「今度、海へいこう」
少し舐めて言えばいいさ
「しょっぱい。そりゃそうか」
シーツを濡らしてほしくてさ
洗う口実
歯ブラシみたいに開いてさ

舌に当るもの全てが新鮮だった頃
まだレバニラ定食が食えなかった頃
君の輪郭を丸っとなぞって少し笑う

その青を、僕はもう知らない
「君の唇の味を憶えていたい」
いまは血の味 鉄の味
冬の海は凍っちゃくれない
ひび割れた唇の皮を少し剥いていた

しょっぱいものは、あなたがくれていたから
まだ空を見る癖

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