2014年3月16日日曜日

本当に好きだったひと

いつ いつ 幸せだった
どこ どこ に帰ったら
彩度のない、影だけが下に伸びている
本当に好きだったひとを思いだしても
抱きしめるのはいつも自分のことだけ

いつ いつ 生きていた
どこ どこ で振返った
ほら見ているよ狼の目
母親にいつも騙されて
歩けなかった はずの場所
夢の世界がまるであるって
夜のバイパス、灯りの下を
こんなにも 小さくなってしまった
奥行きも不可思議も、この程度だったのか
どこまでも続く未知と、教わっていたのに

温くなった 水が耳から
跡形もなく 乾いたはず
いつ いつ 幸せだった
どこ どこ に帰ったら

泣いてみたい 他人のために
怒ってみたい 守るために
そんな風に一生懸命 
自分の場所みたいに まるで
大切な故郷みたいに まるで

本当に好きだったひとを思いだしても
抱きしめるのはいつも自分のことだけ

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