2015年1月31日土曜日

宝塚インター

数万年の約束のように
太陽を信じ切っている
「暮らし」を送れる人々は
ガスの元栓を戻したかたち
柔らかい目をしてこちらを見ている

宝塚の街が夜行バスの窓に映る
そうね、映画の様に映っている
まどろみの少し前
ふとした嘘を浮かべ ほほえむ

さようならも言えない二人
始まらなかった暮らしの話
あなたの住んだこの街の
他人でしかない光を見ている

夢の中では「僕」と呼ぶ
いまとは違う一人称の
それは懐かしい未来のわたし
到れもしない子供のくせに
大人のように遠い目をして

ねむりについて
はやく起きなよ
幾度か目を始めに帰る
眠らない街、
暮らせない街に帰りなさい

さようならも言えない二人
始まらなかった日々の記憶
あなたの住んだこの街が
ガスの元栓を戻したかたち
細めた目をしてこちらを見ている