宝塚インター
数万年の約束のように
太陽を信じ切っている
「暮らし」を送れる人々は
ガスの元栓を戻したかたち
柔らかい目をしてこちらを見ている
宝塚の街が夜行バスの窓に映る
そうね、映画の様に映っている
まどろみの少し前
ふとした嘘を浮かべ ほほえむ
さようならも言えない二人
始まらなかった暮らしの話
あなたの住んだこの街の
他人でしかない光を見ている
夢の中では「僕」と呼ぶ
いまとは違う一人称の
それは懐かしい未来のわたし
到れもしない子供のくせに
大人のように遠い目をして
ねむりについて
はやく起きなよ
幾度か目を始めに帰る
眠らない街、
暮らせない街に帰りなさい
さようならも言えない二人
始まらなかった日々の記憶
あなたの住んだこの街が
ガスの元栓を戻したかたち
細めた目をしてこちらを見ている
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