2012年4月25日水曜日

22歳の爆弾

22歳の爆弾よ
同じ春に落とされて
それから一体幾度の
破裂の機会を見逃した
22歳の爆弾よ
後、何回の春を見る
済んでしまったのか もう
ただ、抜けていく
蓋も無いので、気も泡も

「さっさとしないと本当に、戦争なんて終わってしまうよ」

あ!そうか。
もしや、もしやあの時の
革の財布を傍らに
三階に停まるエレベーター
きっとあそこで散らすべき
だったのかもと思うのは
綺麗に拭かれてしまった後の
薄曇るガラスケースの中で
目掛ける尻も嘗てはあった

おい!お前、爆弾め!
火薬の癖に破裂もしない
誰彼の臓をまき散らす
為に生まれた丸薬。
おい!お前、爆弾め!
溜める意味など無い癖に
出せずに惜しんで22年

2012年4月21日土曜日

通不夜

葬式の看板と 同じ名前の女がいる
「今後ともよろしく」
永遠に近い、六十年
ただの一度も交わる事も無いならば
何の為に俺は男に
お前は子宮を ああ
その中で その中で
暮らしたい程に 溢れてしまう
そうか、「餌付け」その行為は
一種の契約
敷金礼金その他の書類を、集めて
俺は審査に落ちた

お前の耳を愛しみたい
口に含んでふざけていたい
いつも隠れている
形が俺にはわからない
同じ様に ぴこりとつまめる
真っ黒い耳たぶの
その形も尚、知る由も無い

「さようなら」「今後ともよろしく」


2012年4月6日金曜日

春(Eの裏切り)

春を明けて、精液を飲んだお前に
おちょこについだ 酒を一杯勧めている
その上に浮いた花びら
指でつまんで捨てている
これからお前が繰り返す
夜をただ、目の端で見ていた。 

春を明けて、精液を飲んだお前に
嗅いでまとわる、犬をあげよう
せめて頭をなでておやり
どうせぼろきれだ
床も拭けない、
ぼろっかす。

何故に俺は人形なのか
体温のない布なのか
剥ぎ取って、さっさとそれを剥ぎ取って
お前は行ってしまう
六十年もあるんだよ
あと、何度
あと、何度
あああ、

 女「わたしの舵をとらないで 
 あなたに渡した船じゃない」
男「愛なんかじゃ、まるで無かったぜ
ただ、どうして俺じゃってさ」

2012年4月3日火曜日

脆くも崩れ去った壁は
こんなにも 柔らかだったのか
いつまでも 幼いままで
小さくいたいと思っていたのだ。

だが、成長は待たない
削られた土砂の崩れる速さで
少しずつ 
ぱらぱら、、ぱらぱら、、と
その時は終わりを告げる。

「もう、どうなったって構わない。」
だが、先細った口で一体何が言えよう。
否応無しに蝶になり、
忘れる為に飛び回る
せめて、甘い蜜だけは
懐かしいあの味だけは、

なんて惨めな虫なのか
お前の粉に塗れた眼鏡を
俺はいつまでも、拭いている。